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「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編、その配役の意味~無限列車編,刀鍛冶の里編の登場人物~

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主要キャラクター

「鬼滅の刃」は人気絶頂の時に連載終了を迎えるという、今までの漫画界ではあまり見られなかった美しい終わりを飾った物語で、こんな最後を飾れたのは他に「SLAMDUNKスラムダンク」くらいしか思い当たらない。

(鬼滅以後、漫画連載に対する流れが変わり、「約束のネバーランド」や「ハイキュー」などは割とすんなり終わっている)

そういう、無駄に引き延ばす事なく必要な事だけをしっかり描こうとした作品だけに、一つ一つにしっかりと意味がある。

そこで今回は、ちょっと作者・吾峠ことうげ呼世晴こよはるさんの立場になって「遊郭編」に続く物語「刀鍛冶の里編」の配役について考えてみたいと思う。

「刀鍛冶の里編」の配役について

今語ったような考えに信憑性が増すのは、「無限列車編」の最後に登場する上弦の鬼が他の鬼ではなく、上弦の参・猗窩座あかざが登場した理由などを作者の立場から考えてみると合点がいく。

理由を箇条書きにしてみると、

「無限列車編」の最後に猗窩座を登場させた理由とは

1 特別な血気術を使う変則的な相手ではなく、体術を基本にした真っ向勝負をする鬼なので、炎柱・煉獄杏寿郎れんごくきょうじゅろうとの対決でお互いの凄さを伝え易い

2 真っ向勝負をするからこそ、腕を切り落とされても生やす事が出来、斬られても回復する鬼と、逆に戦えば戦う程に疲労とダメージが蓄積する人間との対比を表現し易い。

3 太陽の光から逃げ出した時に炭治郎から「卑怯者」と言われ、それに対して過敏に反応する鬼。

と、いう事になります。恐らく練りに練った構想の中から、最も相応しい鬼が物語の中で誕生し、そこに派遣されたのでしょう。

そういう事を考えると、今までと違う組み合わせで戦う事になる「刀鍛冶の里編」でも、作者が表現したい事柄があるからこそ、その人物が里に呼ばれたと考える事が出来ます。

そこで今回は、刀鍛冶の里に何故この人物が居たのかを考察していきたいと思います。

「刀鍛冶の里編」の登場人物

今回刀鍛冶の里に出向いた炭治郎と偶然一緒になり戦う鬼殺隊の隊士は霞柱・時透ときとう無一郎、恋柱・甘露寺蜜里かんろじみつり、選抜試験で一緒になった不死川玄弥しなずがわげんやの3人。

これに妹の禰豆子ねずこを加えたメンバーで上弦の鬼二体と戦う事になります。

上弦の鬼が倒され、均衡が崩れる

十二鬼月と呼ばれる12人の鬼は始祖・鬼舞辻無惨きぶつじむざんが生み出した鬼の中でも最強の12人なのだが、ここ最近だけで3体も倒されている。

特に「遊郭編」直後のこの時期は、113年倒される事がなかった上位6体、俗に言う上弦の鬼のうち一体が遂に倒され、長年の均衡が崩れた直後である。

鬼狩り、鬼殺隊の壊滅に鬼の方が本気になるのに十分な出来事で、鬼殺隊士の武器である日輪刀を作っている刀鍛冶の里を探り出した今、その里の壊滅に差し向ける鬼は当然強力な存在になる。

だからこそ上弦の鬼。それも万全を期すように二体。

そう考えた時、相対する柱の方も最低で二人必要になってくる。

場合によってはもっと多くても良いのだが、今回は任務ではなく、偶然その里に居たという設定。

更に柱の仕事の忙しさを考えると、太刀打ち出来る最低限の人数以上は都合良く刀鍛冶の里に居るという状況が考え辛い。

「刀鍛冶の里編」の配役

では次にその場に居合わす柱だが、霞柱・時透無一郎は直ぐに決まった筈。

何故なら彼は「始まりの呼吸」の剣士の子孫という血筋。

この里辺りから段々明らかになる伝説の最強剣士の話に触れる上で、子孫である彼の存在に触れない訳にはいかない。

まして今後、最強の鬼であり全ての根源である鬼舞辻無惨に立ち向かって行く為には「始まりの呼吸」の剣士が使っていた技の秘密が重要になってくる。

問題は寧ろ、二人目。9人の柱のうち直近の物語で炎、音という二人の柱が離脱。

残り7人の柱のうち水柱・冨岡義勇、蟲柱・胡蝶しのぶの二人は鉈蜘蛛なたぐも山編に登場している。柱一人一人も丹念に描きたいなら、外すのが自然。残るは霞柱を抜いた4人。

ここで重要になってくるのが、もう一人の登場人物である不死川玄弥の存在だ。

言い方を変えるなら、今まで炭治郎と一緒に任務を遂行して来た同期の嘴平はしひら伊之助と我妻善逸あがつまぜんいつの不在となってくる。

ストーリーの緊張と緩和

「鬼滅の刃」の素晴らしいところは、実に単純な構図、鬼と鬼狩りという図式に敵味方を分けたシンプルで解り易い部分。

そしてもう一つが、真面目な話の中にも、くすっと笑える瞬間が在る事だ。緊張と緩和

そしてその重要な緩和の部分を担当していたのが伊之助であり、善逸。

彼らと絡む事で炭治郎のそういう部分も化学反応し、観ていて楽しい関係性が出来上がる。

今回その二人が不在

代わりに組む事になる同期は柱になる事、手柄を挙げる事に躍起になってピリピリ張り詰めている不死川玄弥。

恋柱・甘露寺蜜里を登場させた理由

この構図で呼ぶ柱のうち一人がほっこりする緩和を届けるような人物とは言えない霞柱・時透無一郎なのだから、もう一人はどうしても炭治郎らと絡んで笑顔を届けられるような朗らかな人物が望ましい。

残された岩柱、風柱、蛇柱、恋柱の中で、朗らかに周囲を明るくするような人物は、恋柱・甘露寺蜜里しかいない。

また、そういう彼女だからこそ、惹かれる者が現れる。

そう考えると、作者目線ではその場に呼ぶべき柱は今回登場する二人以外には考え辛い。

そして、そういう二人や不死川玄弥と炭治郎が絡むからこそ、新たな化学反応が起こり物語が加速して行く。

そういう深味を考えてみると、それぞれの物語で配置されるキャラクターが実に興味深い。

そこで伊之助や善逸に替わって同期の立場で戦う不死川玄弥の話となってくるのですが、残念ながらお時間が一杯。またの機会とさせて頂きます。

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