冨岡義勇と言えば、禰豆子以外の家族を鬼に殺され、絶望していた炭治郎の前に初めて鬼殺隊の剣士です。
今回はそんな義勇さんについて、そして炭治郎と初めて遭遇した時に禰豆子をなぜ斬らなかったのか、その本当の理由についても考察していきます。
義勇さんについておさらい!
義勇さんといえば、背中まである長い黒髪を1本に束ねた特徴的な髪型をしています。
羽織りの正式名称
そして、出会った時から最後まで伊之助は義勇さんのことを「半々羽織り」と呼んでいました。
この羽織りの正式名称は「片身替模様(かたみがわりもよう)」と言います。
義勇さんの羽織は、半分は無地の葡萄色、半分は緑とオレンジの明るい亀甲模様になっています。
無地の方は義勇さんをかばって鬼に殺された姉の蔦子が愛用していた着物の柄、亀甲模様の方は、親友だった錆兎の着物の柄と同じです。
柄の由来
義勇さんは二人にかばわれて自分が生かされた、と思っています。
もしかしたら、二人の形見、と片身がかけられているのかもしれませんね。
義勇さんは基本の5つの呼吸の1つである水の呼吸の使い手で、鬼殺隊での階級は最高位である「柱」です。
義勇さんは、両親を亡くし姉・蔦子と2人で支えあいながら生きていましたが、蔦子姉さんが祝言を挙げる予定だった前夜に鬼に襲われてしまいます。
その後鱗滝さんに引き取られ、剣術を身につけ、鬼殺隊へ入隊するのです。
そして、鬼に襲われている時に何もできなかったという自分の弱さと姉への申し訳なかった、という想いを胸に、13歳で最終選別に参加します。
元々は笑顔の多い快活な子供だった
口下手で寡黙、根暗にも見える義勇さんですが、元々は笑顔の多い快活な子供だったようです。
原作の中にも鱗滝さんが見守っている前で錆兎とじゃれている様子が描かれています。
今の義勇さんからは、じゃれるなんてとても想像できないですよね。
最愛の姉や親友を鬼に殺された、という悲しい過去、そして二人とも自分をかばって死んだ、と思っていることが後の義勇さんに暗く影を落としているようです。
「柱」を堂々と名乗れないと卑下している
炭治郎にも、自分は「柱ではない」と言っています。
自分は守られて生き延びただけで、他の柱のように「柱」を堂々と名乗れないと常に自分を卑下しています。
他の柱と一線を引くような言動も、周りを見下しているのではなく、逆に自分を卑下しているからこそ出ている発言なんですね。
自分の事を卑下していて「柱ではない」と言っていますが、柱になるためには基準がありますし、下弦の伍の累をサクッと倒していることを考えても、鬼殺隊に入った後鍛錬して力をつけてきた、ということは間違いありません。
そう考えるととても努力家である、ということが言えますね。
情に厚い、優しい人
そして、おそらく義勇さんはとても情に厚い、優しい人であることが考察できます。
炭治郎と初めて会った時も、仕事として鬼となった禰豆子を斬ろうとしていましたし、残酷な言葉をかけていました。
でも、強い言葉とは裏腹に家族を殺されて幸せな日常を突然奪われた炭治郎を怒鳴りつけながらも心の中では「泣きだしたいだろう、わかるよ」と呼びかけて同情していました。
大事な人を突然鬼に奪われた悲しみ、そして一人残された炭治郎の辛さに理解を示していました。
さらに、気絶した炭治郎の目が覚めるまで横で待ってあげていましたし、禰豆子のトレードマークとも言える竹の猿轡もおそらく気絶している間に義勇さんが作ってはめていたのだと思います。
本来は斬らなくてはいけない禰豆子と炭治郎を信じて、禰豆子がむやみに人を襲わないように、と作ってあげたのでしょう。
ただ、禰豆子と炭治郎を見逃すだけではなく、一瞬やりあっただけで炭治郎の戦いのセンスを見抜きました。
そして、師匠の鱗滝さんに鬼殺隊の剣士として育てて欲しい、と託します。
鱗滝さんに炭治郎を託す手紙にも「受け継ぐ」ことができるかもしれない、と書いてあります。
自分のことをずっと柱にはふさわしくないと思っているので、柱にふさわしい誰かを探したい、それを炭治郎に託したい、と思ったのかもしれません。
口下手すぎるゆえに誤解されやすい義勇さんですが、鱗滝さんと共に炭治郎と禰豆子を信じて命をかけてくれる等、とても情に厚い、優しい人なんだろうな、と思います。
なぜ禰豆子を斬らなかったのか
さて最後に冨岡義勇がなぜ禰豆子を斬らなかったのかということについて考察していきます。
鬼殺隊は鬼を滅する為の組織です。
そして鬼に親等身内を殺されたことをきっかけに入隊する人も多いというので、隊士の鬼を必ず倒すという決意は相当なものです。
その中でも最高位の柱は鬼殺隊のあるべき姿を見せなければ行けない立場です。
義勇も鬼に対してはとても冷徹で、「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに」というしのぶに対して「無理な話しだ」とバッサリ切り捨てています。
なぜ義勇は初めて会った時に禰豆子を斬らずに見逃し、自分の師匠である鱗滝さんの元に炭治郎と禰豆子を向かわせたのでしょうか。
炭治郎の剣士としての素質を見込んだ
鱗滝さんへの手紙には、丸腰で義勇に挑んできた度胸と鱗滝さんと同じように鼻が利くことから、剣士に育ててほしい、というようなことが書いてありました。
でも、炭治郎の剣士としての素質を見込んだというだけならば禰豆子を斬り、炭治郎だけを向かわせればよいはずです。
そもそも鬼を斬らずに逃がすことは鬼殺隊の隊律違反のはずなので、他の隊士の模範となるべき柱がそんなことをしてはいけないのです。
義勇さんの過去が関係
隊律違反を犯してまで禰豆子を逃がしたのには義勇さんの過去が関係していると思われます。
前述したように、義勇さんのお姉さんは、幼い義勇さんをかばって鬼に殺されています。
そして義勇さんは姉に対して申し訳ない、という気持ちを常に持ち続けています。
肉親を殺されて絶望している姿、そして唯一残った禰豆子をかばおうとする炭治郎の姿に昔の自分を重ねたのではないでしょうか。
禰豆子に鬼との違いを見出した
加えて、鬼になりたてで飢餓状態であるにもかかわらず、炭治郎を食べず、むしろ義勇さんから守ろうとした禰豆子の姿に、何か「他と違うもの」を感じて、鬼と人間の今までとは異なる未来への光を見出したのではないでしょうか。
義勇さんは、後ろ向きになっている時に錆兎から「お姉さんが命がけで守った命を繋がないのか」と叱咤激励された過去があります。
そして蔦子姉さんだけではなく、錆兎が助けてくれて繋いでくれた自分の命で、未来をかえる何かに繋げたかったのかもしれません。
義勇さん推しの人はさらに好きに、そうでない人も義勇さんの魅力を感じていただければとても嬉しいです。
コメント