作中には様々な呼吸が個性豊かなキャラクターと共に登場します。
今回は、そんな全集中の呼吸の特徴や、鬼滅の刃完結後に発売された公式ファンブック2の内容も交えながら各呼吸の斬られ心地について解説していきたいと思います。
水の呼吸
まずは水の呼吸です。
作中では主人公の炭治郎や水柱:冨岡義勇、そしてちょくちょく登場する村田さんが使っています。
水の呼吸は基本の呼吸の一つであり、炭治郎と冨岡さんの育手である鱗滝さん曰く、どんな攻撃にも対応できる、受けの呼吸であるとされています。
確かに義勇さんの拾壱ノ型 凪や、炭治郎が鬼からの攻撃や落下の衝撃を和らげる時に捌ノ型 滝壷を使っていたり、と応用できそうな呼吸法ですね。
水の呼吸は穏やかで初心者にも扱いやすい呼吸法なので、鬼殺隊の中で使っている剣士が多い呼吸法です。
斬られ心地については公式ファンブックによると「優しい」「痛いけど比較的楽」「スッとやってくれる」という感想に加えて「俺のこと嫌いじゃないなってわかる」と言っている鬼までいるようです。
スッと切れ味よくひと思いに切ってくれるので、必要以上に苦痛を与えない切り口、呼吸法なのでしょう。
蟲の呼吸
蟲の呼吸は、基本の呼吸の1つである水の呼吸から派生した花の呼吸のさらなる派生形で、花の呼吸から派生した呼吸、というよりは、胡蝶しのぶが編み出した呼吸です。
蟲の呼吸を使っているのは作中でしのぶだけで、鬼に毒を注入するための突きに特化した技です。
公式ファンブックによると今まで経験したことのない部類の痛みを感じること、また毒の説明をされた時の絶望感がやばい、とのことで身体的、精神的にダメージがあるようです。
毒による攻撃なので、体の内部から内臓が破壊されるような、斬られ心地とは異なる苦しみを感じるのではないでしょうか。
しのぶが使う毒は刀をさやにしまう時に鬼ごとに配合をかえているようで、おそらく刀とさやが他の剣士よりも複雑にできているのだろうと考えられます。
花の呼吸
花の呼吸は水の呼吸から派生した呼吸で、胡蝶しのぶの姉、胡蝶カナエと栗花落カナヲが使っている呼吸法です。
公式ファンブックによると「すごい良い匂いがした」「天国に行けそうな気がした」という感想があるので、斬られる痛みよりも良い香りや最期にかけてくれるらしい優しい言葉の印象が強いようですね。
花の呼吸で印象強いのはカナヲが童磨と炭治郎に使った、終ノ型 彼岸朱眼ではないでしょうか。
動体視力を極限まで上げることにより、周囲の動きが遅く見えるようになり攻撃のチャンスが生まれるというのが彼岸朱眼のポイントです。
ただし、ただでさえ繊細な眼球に負荷がかかりすぎて毛細血管が切れ、眼が真紅に染まり、失明の危険性があるので何度も使うことのできない技です。
他の呼吸は全て斬撃に重きをおいているのに対して、花の呼吸だけ動体視力を高める技があるということを考えると、筋力が少ない女性でも鬼を倒すことができるように考えられた呼吸法なのかもしれません。
風の呼吸
風の呼吸も水と同様に基本の呼吸とされていて、作中では風柱:不死川実弥が使っていました。風といってもそよ風等のやさしい風ではなく、嵐や旋風、台風といった荒々しい名前が付いているので、その威力が伺えます。
公式ファンブックによると「すごい痛い激痛」「俺のことが嫌いなんだなってわかる」「思いやりのかけらもない」と言われている通り、めちゃくちゃ痛いのでしょう。
柱合会議で禰豆子を刺したり、一人だけ「殺」と書いてある羽織を着ていたりと一見荒々しい実弥にあった、肉体が削げたり裂けたりする激痛を伴う技が多いと言えます。
風の呼吸の技は強い痛みを与えるという他に、広範囲をカバーすることができます。
岩の呼吸
岩の呼吸も基本の呼吸の1つで作中では岩柱:悲鳴嶼行冥が使っています。
戦闘シーンや稽古の様子を見てみると、シンプルに力技が多い呼吸法です。
日輪刀ではなく、鎖のついた手斧と鉄球を使っています。
これは盲目の悲鳴嶼さんが鎖の音などから相手の距離や空間全体を認識するためだと考えられます。
公式ファンブックによると岩の呼吸で倒された鬼たちは「怖すぎて漏らした」「泣きたいのはこっちなのに向こうが泣いているから混乱した」「あんな武器見たことない」「ゴウンゴウンしてた」と言っています。
また黒死牟は「仁王像を彷彿とさせる……」と言っていることからも分かるように、斬られ心地がどうこうというよりもとにかく悲鳴嶼さんが怖いようで、痛みについては参考になりません。
なので、技から痛みを推測していきたいと思います。
鉄球を振り落とす「弐ノ型 天面砕き」や、日輪刀を勢いよく振り下ろして、武器の重さと反動を利用して威力を高めた「伍ノ型 瓦輪刑部」などつぶす、砕くという印象の強い攻撃が特徴です。
つぶされたり、砕かれたり…痛そうですね。
でも他の呼吸の斬り技や突き技と比べて即死することができそうです。
炎の呼吸
炎の呼吸も基本の呼吸の1つで、作中では炎柱:煉獄杏寿郎が使っています。
その歴史はとても古くて、「炎と水の剣士はどの時代でも必ず柱に入っていた」と言っているので、水同様に使い手の人数もそれなりに多い呼吸法なのかもしれません。
公式ファンブックでは「スッキリ感がある」「夏の青空のような爽やかさといった清々しさを感じる」「かっこいい」「やられてもしょうがないと思えた」等、斬られた鬼からもかっこよさを感じてもらっているような意見が多くありました。
炎をまとった虎が敵を討つ炎虎、自らが炎を纏って敵に突進する「玖ノ型 煉獄」等、華やかで荒々しく、直接的な攻撃が多いのも特徴です。
そうした戦い方や威力から、鬼ですらもスッキリ感があるというようなすがすがしさを感じているのかもしれません。
恋の呼吸
恋の呼吸は炎の呼吸の派生で、作中では甘露寺蜜璃だけの呼吸です。
その斬られ心地は「ときめくドキドキする甘酸っぱい恋がしたくなる」といった感想が多く、痛いのかどうかは不明です。
甘露寺さんが使っている日輪刀は刃が薄く鞭のようにしなる日輪刀です。
そこから想定するに鞭のように叩かれた上に斬られたら絶対痛いはずです。
でもその痛みも忘れてしまうくらい、甘露寺さんにときめいてしまうということなのかもしれませんね。
甘露寺蜜璃が持つ、常人の8倍にもなるという筋肉密度も相まって恋の呼吸はしなやかで繊細、また鋭くも力強い斬り口になるのではないかと考えられます。
蛇の呼吸
蛇の呼吸も水の呼吸から派生した呼吸とされていて、作中では伊黒小芭内が使用していました。
波打つような刀身の日輪刀を使い、蛇のようにうねるような斬り方をするのが特徴です。
公式ファンブックに記載されている斬られ心地ですが、「なんかつらい」「独得の断面」「刃に合わせて傷が波打った分だけ痛い」とかなり痛そうです。
切れ味が鋭く断面が広く波打つ傷跡というのは、じわじわ、ネチネチと強い痛みが続きそうです。
音の呼吸
音の呼吸は雷の呼吸から派生されたとされていて、作中では音柱:宇髄天元が使っています。
公式ファンブックによると「斬られた断面がきれい」「ゴツイのに静かで地味な足運び」「動きのすべてに細かな技巧がある」と言われていて、さすが元忍!という感じですよね。
音の呼吸の特徴は大きな2本の日輪刀による斬撃とともに繰り出される大量の爆発攻撃です。
斬撃と爆撃で二重苦の苦しみとも言えますが、実際斬られた鬼たちの感想では痛みに関しての感想がありません。
豪快で派手な攻撃と繊細さの両面を持つことで無駄に苦しめない攻撃なのかもしれませんね。
霞の呼吸
霞の呼吸は風の呼吸から派生した呼吸法で、作中では霞柱:時透無一郎が使用している呼吸法です。
公式ファンブックによると「生意気、自尊心を傷つけられる、あの冷たい目つきには涙が出た、ゲロまみれの石ころ見てるみたいな目つきする」と言った感想が目立ち、斬られ心地というよりは無一郎君の冷ややかな態度が強く印象に残っているようです。
柱稽古の時も時透は高速移動を担当していたことから、敵が何をされたか分からないようなスピードで斬り捨てているのだと推察できます。
霞の呼吸は肉体的な大きさや強さを補うスピード重視の呼吸法なのでしょう。
もしかしたら、花の呼吸と同様に女性にも使いやすい型なのかもしれませんね。
日の呼吸
全ての呼吸の始まりとされるのが日の呼吸で、継国縁壱の呼吸です。
公式ファンブックによると、無惨からは「不快」、半天狗からは「すぐに治らないしすごく痛かった」と言われています。
無惨と縁壱の戦いのシーンでは、完全無欠と思われていた無惨が一瞬でバラバラに斬られていて衝撃を受けた方も多かったのではないでしょうか。
赫刀で斬られると鬼の最大の強みである再生が阻害されたり、何百年もその傷が消えずにじりじりと細胞を焼き続ける、ということを考えても、痛みは想像を絶するのではないかと思います。
そうしたことを考えても、無惨の「不快」という短い言葉に全てが集約されているように思えますね。
多くの呼吸が登場し、戦いの中で同時に技を繰り出すとどっちがどの攻撃だか原作ではわからなかった部分もあるかもしれませんが、改めて整理してみると、使い手の個性がしっかり出ていて面白いですよね。
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